Juli 15, 2026

しんどさを楽しく乗り越える

Von 礒﨑遼太郎
しんどさを楽しく乗り越える

七月も半ばになりました。梅雨から夏へ、季節の変わり目です。

そろそろ、梅雨ー夏の番茶の収穫も終わりが見えてきました。梅雨の雨をたっぷり吸って、夏の光を浴びて。この時期の茶葉は、刈っても刈っても、追いかけてくるような勢いがあります。炎天下の中での除草作業→収穫作業の連続です。

五月よりも、忙しいかも

今シーズンは、驚くほどたくさんのお茶を刈ることができました。ひょっとしたら、一番茶の五月よりも多いかもしれません。たくさんの方が悠三堂のお茶を飲んでくださるようになり、今年は、今まで以上にお茶をつくっています。

昨日にいたっては、600キロほどお茶を収穫することができました。一日で、荒茶にすると240キロほどになります。悠三堂で出荷するお茶の1ヶ月分ぐらいのお茶を収穫したことになります。

炎天下で、無理をしない

昨日も、炎天下での作業でした。

こういう日にいちばん気をつけているのは、量ではなく、人です。こまめに休憩を取りながら、一人ひとりがしんどくなりすぎていないか、様子を見て回る。誰かが無理をしていないか。声が減っていないか。

そうして気を配りながら、なんとか無事に、みんなでお茶を刈り切ることができました。

この季節を越える理由

正直に言えば、梅雨から夏にかけてのお茶刈りは、一年でいちばん大変な時期です。暑さも、量も、疲れも、この数週間に集中します。

それでも刈るのは、この茶葉が、ほうじ茶になるからです。

ほうじ茶をつくり、ティーバッグにして、みんなに届ける。それが僕らの使命のひとつです。毎日の食卓で、誰かがふっと一息つく、その一杯になる。そこまで見えているから、この季節を越えていけます。

目指しているのは、生葉で6000キロから8000キロ。この山を越えられるかどうかが、今年の一つの区切りです。

残りは、あと2回か3回。7月中にこれを終えられれば、一つ形が見えてくると思います。刈り終えたら8月はまるごと休みにして、9月にまた、あらためてお茶をつくります。走る時期と、休む時期。畑と同じで、人にも季節が必要です。

キャラクターに、助けられている

悠三堂の作業は、いつもメンバーに加えて、誰かが来てくれています。

今シーズンは、たくさんのフランスの方が手伝いに来てくれました。昨日はトーマスが来てくれて、とても積極的に、いろんなことを一緒にやってくれました。

そして今年、何より大きいのは、アクセルがいてくれることです。

彼に助けられているのは、技術や労力だけではありません。あたたかくて、穏やかで、前向きな、そのキャラクターに助けられているのです。しんどい作業の場でも、そういう人がひとりいるだけで、空気がまるごと変わります。みんなの顔が上がる。声が戻ってくる。

しんどい作業ほど、たくさんの人と

そして今、悠三堂のスタイルが、少しづつはっきりしてきました。

しんどいと思える作業ほど、たくさんの方に来ていただいて、みんなで楽しんで乗り切っていく。これが、僕らの一つの原点になりつつあります。

以前の僕なら、しんどい作業は、しんどいまま歯を食いしばって片づけるものでした。でも今は、違います。しんどさは、なくすものではなく、みんなで越える一つの山なのだと思うようになりました。

十年かけて、なんとかこの季節を乗り切りながら、たくさんのお茶をつくれるようになりました。これが、梅雨から夏にかけての山をどう越えるか、という問いへの、今のところの僕の答えです。

楽しむ時間は長く、刈る時間は短く

ただ、楽しむことと、だらだらやることは違います。

いろいろと研究を重ねて、みんなで楽しんでやる時間はしっかり取りながら、収穫そのものにかける時間はうんと短くする。ここを徹底できるようになったのが、本当によかったと思っています。

短く、集中して刈る。だから、笑いながら休憩できる。楽しさと効率は、対立しないのだと思います。

今年の反省

もちろん、うまくいかなかったこともあります。

今年は、茶刈り機が足りませんでした。故障した機械が使えなくなり、二日にわたって同時に使う、といった段取りが組めなかったのです。これは残念でした。来年への宿題です。

それ以外のところは、とてもよくできています。そして、このしんどいシーズンをどう乗り切るか——これは、これからも僕らの大きな課題であり続けるのだと思います。

村の人たちと、一緒につくる

そしてもう一つ、今年うれしかったことがあります。

東吉野村のリバーサイドティーファクトリーが、今年から協力してくださるようになりました。村の人たちと共同で、お茶をつくる。それが実現したのです。

自分たちの茶畑の中だけで完結するのではなく、地域の方々と一緒に手を動かし、一緒にお茶をつくっていく。それが少しでも地域への貢献になっているのだとしたら、こんなにありがたいことはありません。

しんどい山を、みんなで越える。その「みんな」の輪が、フランスから来てくれた仲間たちだけでなく、この土地に暮らす人たちにまで広がってきた。それが今年の、静かな手応えです。

それができるようになった、ということ

人が来てくれて、みんなで協力できる。この状態をつくれたことが、ここ数年でいちばんの進歩でした。

新しい出会いと、新しい刺激を、いつもたくさんの人からもらっています。それができるようになったということが、何よりも一番なのだと思います。

言葉も、育った土地も違うけれど、同じ茶畑に立って、同じお茶を刈る。だから僕は、お茶の重さを、いつも人の顔とセットで思い出します。600キロという数字の向こうに、炎天下で笑っていた仲間たちの姿がある。

刈って、つくって、流していく。今年もその流れを、みんなの手で回しています。

あと、もう少しだけ。もう少しだけ頑張って、この季節をみんなで楽しんで乗り切って、次の目標に向かっていきたいと思います。


こうして刈った茶葉から生まれる「鳳次郎ほうじ茶」。香ばしさのあとに、やさしい甘みが追いかけてきます。よかったらどうぞ。
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