小さいから、できること
9月も半ばを過ぎて、雨の日が続いています。昨日もまた、まとまった雨が降りました。
前日の予報では雨。朝の予報では「あまり降らないかもしれない」。茶畑に出るか、室内で作業するか、少し迷いました。結局、しっかり降ってくれたので、終日室内の仕事になりました。
雨の日のお客さま
畑に出られない一日でしたが、その代わりにたくさんの来客があり、とても賑やかで楽しい一日になりました。
なかでも、吉野の大淀町で江戸時代から天日干しの番茶をつくり続けている、嘉兵衛本舗さんが遊びに来てくださいました。
嘉兵衛本舗さんのお茶は、僕もこれまで何度かお店で見かけたことがありました。「嘉兵衛」という名前からは、さぞかしこだわりの強い、職人気質のおじさんがつくっているのだろうと勝手に想像していたのです。ところが実際にお会いしてみると、お父様から事業を引き継いだ3姉妹で経営されているとのこと。想像とはずいぶん違う、明るい顔ぶれでした。
直販の先駆者に教わる
嘉兵衛本舗さんの茶園は2〜3町ほど。小規模といえば小規模ですが、本当に小さいというわけでもない、いわば小中規模のサイズ感です。その規模で、独自の商品をつくり、お客さんに直接届ける。それを何代にもわたって続けてこられた、直販の先駆者です。
こちらに来ていただいた日だったので、僕らのやっていることやお茶づくりのことをお話しする場面のほうが多かったのですが、僕のほうが教わることばかりでした。直販をどう積み上げてきたのか、その努力のしかた。そして今、3姉妹で新しいブランドを立ち上げているという話。どれもとても刺激的でした。
小さいから、できること
お茶農家同士で話していると、どうしても大規模化や効率化の話題にもなります。それはそれで大事な話です。
でも一方で、小さいからこそつくれるものがある。小さいからこそ工夫ができる。足回りが軽いから、いろんなことをすぐに決めて、新しい挑戦に踏み出せる。これは小規模の茶農家ならではの良さなのだと、話しながら改めて思いました。
悠三堂も、今は本当に小さいというわけではなく、中規模くらいになってきています。それでも、この良さをもう一度はっきりと知ることができた一日でした。共通する話題がとても多かったのも、きっとそのせいだと思います。
小さくて、いい。
小回りがきくから、いい。
家族でできるから、いい。
そういうところが、お茶づくりという仕事とよく合っているのかもしれません。
日本茶を豊かにしているもの
お茶は嗜好品です。だから、大量に生産して規格品をつくり、卸したり海外に輸出したりすることも、お茶の持っている特性のひとつだと思います。僕自身もお茶づくりを経験してきたので、その側面はよく理解できます。
その反面、小中規模でつくるお茶の楽しさも、よくわかります。
今は直販ができる時代です。ECも、店頭も、デザインも、以前よりずっと手軽に整えられるようになりました。農家が飲む人に直接届けられる流れができているのは、とても楽しい時代だと思います。
そしてもうひとつ。小中規模で、個性的なお茶をつくっていくこと。地域ごとに、面白いお茶づくりが続いていくこと。それが、画一的な既製品やブランド茶をつくること以外のところで、日本茶を本当に豊かにしているのだと、僕は思っています。
江戸時代から続く天日干しの番茶を直販で守ってきた先代たちがいて、いま3姉妹が烏龍茶や紅茶といった新しいお茶づくりに真摯に取り組んでいる。伝統的な日本茶と、新しい日本茶づくり。その両方が一軒の中にあるのは、素晴らしいことだと思います。
お茶の試飲大会
お話のあとは、悠三堂の製茶の機械や、農福連携の実際の現場も見ていただきました。それから一緒にご飯を食べて、僕らの変わり種のお茶を次から次へと出す、ちいさな試飲大会のような時間になりました。
雨で畑に出られない日。作業が少し落ち着いている季節。こういう日に、お茶農家さんとゆっくり交流できるのは、本当にありがたいことです。
また、ぜひ遊びに来てほしいと思っています。
雨の日の試飲大会で登場した変わり種のひとつ、成熟した葉の軸や茎を使った「自然発酵あかばんちゃ」。素朴でコクのある一杯です。よかったらどうぞ。
→ 【自然栽培】自然発酵あかばんちゃ リーフ40g
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