自然日本酒 ― 自然栽培米だけで醸す、奈良の酒

土から、米を育て、酒を醸す。

農薬も、肥料も使わない。土と水と稲の力だけで育った「自然栽培米」のみを原料に、奈良・都祁の山あいに建つ酒蔵「倉本酒造」で、一本一本ていねいに醸しました。米の生命力がそのまま酒になる――それが、私たちの考える「自然日本酒」です。

自然栽培米 100%無農薬・無肥料自家採種15年以上の「初霜」奈良県・倉本酒造
OUR PHILOSOPHY

自然栽培の米だけで、醸すということ。

日本酒の味わいの八割は、米と水で決まると言われます。私たちはその出発点である「米」を、農薬にも肥料にも頼らず、土の力だけで育てられた自然栽培米に限定しました。収量は慣行栽培の半分ほど。それでも、この米でしか出せない澄んだ味わいがあります。

一、自然栽培米のみを使用

農薬・化学肥料はもちろん、有機肥料さえも使わない自然栽培。土壌の微生物と稲そのものの生命力を引き出して育てた米だけを、酒米として用います。

二、十五年以上、自家採種を続ける米「初霜」

品種は京都産の「初霜(はつしも)」。毎年、最も良く実った稲から種籾を採り、翌年の田へ継いでいく自家採種を十五年以上続けてきました。種を買わず、自らの田で命をつないだ米は、年を重ねるごとにその土地の気候風土に適応し、無肥料の田でも力強く育ちます。

三、奈良・都祁の蔵で小仕込み

醸すのは、標高約五〇〇メートルの高原に建つ倉本酒造。冷涼な気候と裏山から湧く軟水、伝統の技で、少量ずつ丁寧に仕込みます。

自然栽培という選択

肥料を与えられた稲は、根を張らずとも育ちます。何も与えられない稲は、養分を求めて深く深く根を張ります。

その根の強さが、雑味のない澄んだ米をつくり、キレのある美しい酒質を生みます。

0農薬・肥料
100%自然栽培米
15年+自家採種の初霜
THE BREWERY

醸すのは、奈良・都祁の「倉本酒造」。

倉本酒造
奈良市都祁吐山町 ― 標高約500mの山あいに建つ蔵

明治四年創業、山の水と共に生きる蔵

倉本酒造は、明治四年(1871年)創業。奈良県北東部・大和高原の都祁(つげ)にあり、冬の寒さが厳しい標高約五〇〇メートルの高地で酒を醸し続けてきました。仕込み水は、大切に守り育ててきた裏山の地層で濾過された、カルシウムを含みマグネシウムの少ないやわらかな軟水。この水が、穏やかな発酵とまろやかな味わいを生み出します。

地元に愛されてきた「金嶽」「つげのひむろ」に加え、2018年には新ブランド「KURAMOTO」を立ち上げ、伝統を守りながら日本酒の新しいスタンダードを追求。乳酸菌の研究に裏打ちされた、奈良伝統の菩提酛(ぼだいもと)への造詣も深く、その技術と哲学が、自然栽培米の力を最大限に引き出します。

創業
明治四年(1871年)
所在地
奈良県奈良市都祁吐山町
環境
標高約500mの大和高原・冷涼な気候
仕込み水
裏山から湧く軟水(低マグネシウム)
銘柄
金嶽・つげのひむろ・KURAMOTO ほか
THE RICE FIELDS

初霜の田んぼ、一年のすがた。

農薬も肥料も入らない田んぼは、生きものの気配に満ちています。十五年以上自家採種を続ける「初霜」が育つ、京都の田んぼの一年をご覧ください。

夕暮れの黄金色に実った初霜の田んぼ
夕陽に染まる収穫前の初霜 ― 無肥料の田で、ここまで実る。
田植え直後、雨の水田
初夏 ― 田植え雨を受ける早苗。自然栽培の一年がここから始まります。
夏、青々と分けつする稲
盛夏 ― 分けつ肥料に頼らず、深く根を張って力強く育つ初霜。
出穂した初霜の稲穂
初秋 ― 出穂頭を垂れはじめた稲穂。実りの気配が田を包みます。
家族での手刈り収穫のようす
秋 ― 収穫鎌を手に、ひと株ずつ。次の年の種籾もこの田から選びます。
PRODUCTS

商品

自然栽培米100%・倉本酒造醸造。少量仕込みのため、売り切れの際はご容赦ください。

Peace 以和為貴 純米吟醸 ボトル
YUSANDO — 伝統 × 自然

Peace「以和為貴」純米吟醸

十五年以上、自家採種でつないできた京都産の自然栽培米「初霜(はつしも)」だけを、六割まで磨いて仕込んだ純米吟醸。無肥料の田で深く根を張った米の澄んだ生命力を、倉本酒造の軟水と冷涼な都祁の気候が、低温発酵でゆっくりと酒に写し取ります。フルーティーな香り、心地よい酸味、そして静かに切れる後口。聖徳太子の「和を以て貴しと為す」に想いを重ねた、平和を願う一本です。

原料米
自然栽培「初霜」100%(京都産/無農薬・無肥料/自家採種15年以上)
特定名称
純米吟醸酒
精米歩合
60%
醸造元
倉本酒造(奈良県奈良市都祁吐山町)
味わい
フルーティー ・ 酸味 ・ キレ
容量
720ml
生産本数
限定 750本
¥2,500 (税込)

※ 通販はおこなっておりません。お問い合わせはDMまで。/ ラベルは変わる可能性があります。/ 20歳未満の方への酒類の販売は行いません。

STORIES

読み物 ― 自然日本酒を、もっと深く。

一杯の酒の背景には、千年を超える歴史と、田んぼの物語があります。知れば知るほど、味わいは深くなる。

日本酒の歴史 ― 神饌から世界のSAKEへ

History of Sake

日本酒の歩みは、稲作の伝来とともに始まりました。二千年以上にわたり、酒は神と人を結び、 祭りと暮らしの中心にあり続けてきました。その長い物語を、駆け足でたどります。

神々に捧げる酒から始まった

水稲耕作が伝わった弥生時代、米を発酵させた酒がつくられ始めたと考えられています。 『魏志倭人伝』には倭人が酒を好んだことが記され、『古事記』『日本書紀』にはヤマタノオロチ伝説の 「八塩折之酒(やしおりのさけ)」など、酒にまつわる神話が数多く登場します。 酒はまず、神に捧げる神聖なもの――神饌(しんせん)でした。

寺院が磨いた中世の酒 ―「僧坊酒」

平安時代、朝廷の造酒司(みきのつかさ)が酒造りを担いましたが、中世に入ると その中心は寺院へ移ります。とりわけ奈良の寺院で造られた「僧坊酒(そうぼうしゅ)」は 当代随一と評され、正暦寺(しょうりゃくじ)では、乳酸菌で雑菌を抑える「菩提酛(ぼだいもと)」や 諸白(もろはく)造り、火入れ殺菌など、現代の清酒につながる技術が確立されました。 このため奈良は「清酒発祥の地」と呼ばれます。

江戸の酒、近代の酒

江戸時代には灘・伏見など銘醸地が発展し、寒造りや杜氏制度が確立。 明治以降は科学の目が入り、酵母の純粋培養や速醸酛の開発によって品質が安定します。 戦中戦後の米不足の時代を経て、昭和後期からは吟醸酒・純米酒といった 「特定名称酒」が花開き、質を競う時代へ。

そして、世界のSAKEへ

2024年には「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録され、日本酒は名実ともに 世界の文化財となりました。海外での人気も高まり続けるいま、 あらためて問われているのが「原料の米はどう育てられたのか」という視点。 私たちの自然日本酒は、この二千年の歴史の最先端で、原点である「米づくり」に立ち返る試みです。

  • 弥生時代稲作とともに米の酒が始まる
  • 奈良〜平安朝廷の造酒司による酒造り。『延喜式』に多彩な酒の記録
  • 室町時代奈良・正暦寺で菩提酛や諸白造りが確立。「清酒発祥の地」
  • 江戸時代灘・伏見の発展、寒造り・杜氏制度の確立
  • 明治〜昭和酵母の純粋培養、速醸酛、級別制度から特定名称酒へ
  • 2024年「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録

自然栽培の歴史 ― 何も与えない、という農法

History of Natural Farming

自然栽培とは、農薬や化学肥料だけでなく、堆肥などの有機肥料さえも用いず、 土と作物の力だけで育てる農法。その源流には、日本で生まれた思想があります。

源流 ― 岡田茂吉と福岡正信

自然栽培の思想的な源流のひとつは、1930年代に岡田茂吉が提唱した「無肥料栽培(自然農法)」。 土は本来、作物を育てる力を持っており、肥料はむしろその力を損なうという考え方です。 また、『自然農法 わら一本の革命』(1975年)で世界に知られる福岡正信は、 「不耕起・無肥料・無農薬・無除草」を掲げ、その思想は海外のパーマカルチャーにも大きな影響を与えました。

「奇跡のリンゴ」と自然栽培の広がり

自然栽培という言葉を広く世に知らしめたのが、青森のリンゴ農家・木村秋則さんです。 絶対に不可能と言われた無農薬・無肥料のリンゴ栽培に約十年の歳月をかけて成功し、 その物語は「奇跡のリンゴ」として書籍・映画になりました。 以降、全国の米農家・野菜農家に自然栽培への挑戦が広がっていきます。

有機栽培と自然栽培はどう違う?

慣行栽培 有機栽培 自然栽培
農薬 使用する 化学農薬は不使用 使用しない
化学肥料 使用する 使用しない 使用しない
有機肥料・堆肥 使用することも 使用する 使用しない
育てる力 資材と管理 土づくりと資材 土壌生態系と作物自身

何も与えないからこそ、稲は自ら深く根を張り、土中の微生物との共生の中で育ちます。 収量は慣行栽培より大きく減りますが、雑味の少ない、生命力に満ちた米が実ります。

なぜ、酒米に自然栽培なのか

日本酒の発酵は、米のデンプンを麹が糖に変え、酵母がアルコールに変える微生物の営みです。 過剰な養分を含まない自然栽培米は、発酵の進みが素直で、澄んだキレのある酒質になると言われます。 微生物の力を借りる酒づくりと、微生物の力で育てる米づくり。 自然栽培と日本酒は、実はとても相性のよい組み合わせなのです。

自然栽培の米作り ― 種籾から種籾へ、めぐる一年

Rice Growing, the Natural Way

自然栽培の米作りは、収穫で終わりません。最も良く実った稲から翌年の種籾を選び、 また次の春へつなぐ。「初霜」は、この循環を十五年以上くり返してきた米です。 肥料も農薬も入らない田んぼの一年を追ってみましょう。

始まりは「種」― 自家採種という営み

多くの田んぼでは、種籾を毎年購入するのが当たり前になっています。 私たちはそうせず、秋の田で最も健やかに実った株から種籾を採り、翌年の種とします。 十五年以上この自家採種を続けるうちに、初霜はこの田の土、この土地の気候に少しずつ体を合わせ、 無肥料でも力強く育つ「その田だけの米」になっていきました。 種を継ぐことは、土地の記憶を継ぐことでもあります。

春 ― 苗づくりと田植え

春、塩水で沈む充実した籾だけを選り分け(塩水選)、健苗を育てます。 自然栽培では、苗の段階から化学的な消毒や肥料に頼りません。 田植えは株間をゆったりと取るのが基本。一株一株に光と風を十分に与えることで、 稲は自ら分けつを重ね、病気にも強く育ちます。

夏 ― 最大の仕事は「草」との付き合い

除草剤を使わない田んぼで、いちばん手がかかるのが草取りです。 水の深さを調整して草の発芽を抑え、田車を押し、それでも残る草は手で取る。 炎天下の地道な仕事ですが、この手間こそが自然栽培の米の価値そのものです。 農薬のない田には、カエルもクモもトンボも戻ってきます。 生きものの豊かさは、田んぼが健康であることの何よりの証です。

土の力だけで実らせる

肥料を入れない田んぼでは、土中の微生物が有機物を分解し、稲に養分を渡します。 稲は養分を探して深く広く根を張り、じっくりと育ちます。 チッソ過多の稲にありがちな軟弱さや病害虫の被害が少なく、 米粒はやや小ぶりでも、締まりのある澄んだ味に仕上がります。 収量は慣行栽培に遠く及びません。それでも、この米にしかない透明感があります。

秋 ― 収穫、そして次の一年へ

穂が黄金色に垂れたら、いよいよ収穫。私たちの田では、家族総出で鎌を握る手刈りの風景も健在です。 刈り取った稲の中から、来年へつなぐ種籾を選ぶ――ここでまた、一年がめぐり始めます。 こうして育った初霜が、冬、奈良・都祁の倉本酒造へ運ばれ、 「Peace 以和為貴」として醸されるのです。

田んぼとお酒のつながり: ページ上部の「田んぼ」では、この一年のすがたを写真でご覧いただけます。

「自然日本酒」というジャンル

Natural Sake

ワインの世界で「自然派ワイン(ヴァン・ナチュール)」が一大ジャンルとなったように、 日本酒の世界でも「自然酒」「自然派日本酒」と呼ばれる流れが静かに、確かに広がっています。

自然派ワインの隣にあるもの

自然派ワインは、ブドウ栽培から醸造まで人為的な介入を最小限にしたワインの総称として、 世界中のレストランやワインショップで定着しました。 同じまなざしを日本酒に向けたのが「自然日本酒」です。 原料米の栽培方法(無農薬・無肥料)、伝統的な酛づくり(生酛・菩提酛)、 無添加(醸造アルコールや酵素剤に頼らない)といった要素を大切にする酒がこう呼ばれます。

「自然日本酒」を構成する三つの要素

  1. 米 ― どう育てられたか自然栽培・無農薬栽培の米を使うこと。私たちはここを最も重視し、自然栽培米100%に限定しています。
  2. 酛 ― どう発酵を起こすか蔵に棲む微生物や乳酸菌の働きを活かす生酛系(生酛・山廃・菩提酛)の酒母づくり。奈良は菩提酛発祥の地です。
  3. 手 ― どこまで人が委ねるか添加物に頼らず、温度と時間を味方につけ、微生物の営みに人が寄り添う造り。

「きれいな酒」ではなく「生きている酒」

自然日本酒の魅力は、均質な美しさではなく、その年の田んぼと蔵の記憶がそのまま瓶に詰まっていることです。 同じ銘柄でも年によって表情が変わる。それは欠点ではなく、農産物としての酒の本来の姿。 飲み手は一杯の酒を通して、その年の気候や田んぼの風景と対話することになります。

まだ法律上の定義がある言葉ではありません。だからこそ、造り手がどこまで誠実に 「自然」と向き合っているかが問われるジャンルです。私たちは、原料・製法・表示のすべてを 透明にお伝えすることを約束します。

純米吟醸酒は、他の日本酒とどう違うのか

What Makes Junmai Ginjo Special

ラベルに並ぶ「純米」「吟醸」「大吟醸」「本醸造」……。 この違いは、実はたった二つの軸で整理できます。「米をどれだけ磨いたか」と「醸造アルコールを加えたか」です。

特定名称酒の見取り図

名称 精米歩合 醸造アルコール 特徴
純米酒 規定なし なし 米と水と麹だけ。米の旨みをまっすぐ味わう
純米吟醸酒 60%以下 なし 米だけで醸し、吟醸造りで香りを引き出す
純米大吟醸酒 50%以下 なし さらに磨き、より華やかで繊細に
本醸造酒 70%以下 あり(少量) すっきり軽快な飲み口
吟醸酒・大吟醸酒 60% / 50%以下 あり(少量) 香り高く軽やか

「純米」×「吟醸」= いいとこ取り

純米吟醸酒とは、米・米麹・水だけを原料に(純米)米を外側から四割以上削り(精米歩合60%以下)、 低温でゆっくり発酵させる吟醸造りで醸した酒のこと。 米の外側に多いタンパク質や脂質は雑味のもとになるため、削ることで澄んだ味になります。 そして低温長期発酵が、リンゴやメロンを思わせる「吟醸香」を生み出します。

つまり純米吟醸は、純米酒の持つ米の旨み・ふくらみと、吟醸酒の持つ華やかな香り・きれいな酒質を あわせ持つ、バランスの妙が身上のお酒。食事と合わせやすく、日本酒の入り口としても、 飲み込んだ先の深みとしても愛される所以です。

自然栽培米の純米吟醸という贅沢

収量の少ない自然栽培米を、さらに四割磨いて使う――数字だけ見ればずいぶん贅沢な話です。 私たちの純米吟醸は、十五年以上自家採種でつないできた自然栽培米「初霜」を精米歩合60%まで磨き、 低温でじっくり醸したもの。力のある米を磨いてゆっくり発酵させるからこそ、香りは穏やかに、味は澄み、 「田んぼの空気まで映したような」一杯になります。純米吟醸は、自然栽培米の実力が最も伝わる形だと私たちは考えています。

飲み方のすすめ: 純米吟醸は10〜15℃前後(花冷え〜涼冷え)がおすすめ。香りが開き、味の輪郭が最も美しく感じられます。ワイングラスで香りを楽しむのも◎。

日本酒の製造工程 ― 一粒の米が酒になる旅

How Sake Is Made

日本酒は、世界でも類を見ない「並行複発酵」という高度な発酵技術で造られます。 麹がデンプンを糖に変えるのと同時に、酵母がその糖をアルコールに変える―― 二つの発酵がひとつのタンクの中で同時に進むのです。

  1. 精米(せいまい)玄米の外側を削り、雑味のもとになるタンパク質・脂質を取り除きます。純米吟醸なら40%以上削ります。
  2. 洗米・浸漬(しんせき)米を洗い、秒単位で管理しながら水を吸わせます。吸水率が蒸し上がりを左右します。
  3. 蒸米(むしまい)「外硬内軟」――外はさばけ良く、中はふっくら。麹菌が入り込みやすい理想の蒸し上がりを目指します。
  4. 製麹(せいきく)蒸米に麹菌を振り、約二昼夜。「一麹、二酛、三造り」と言われる、酒づくりの心臓部です。
  5. 酒母(しゅぼ)づくり酵母を健全に増やす工程。乳酸で雑菌を抑えます。生酛・山廃・菩提酛は自然の乳酸菌を活かす伝統製法です。
  6. 醪(もろみ)・三段仕込み蒸米・麹・水を三回に分けて加え、約三〜四週間。低温でゆっくり発酵させるのが吟醸造りです。
  7. 上槽(じょうそう)醪を搾り、酒と酒粕に分けます。搾りたての新酒の香りは、蔵人だけの特権です。
  8. 火入れ・貯蔵・瓶詰め低温殺菌(火入れ)を経て熟成させ、味が調ったところで瓶詰めして出荷します。

造りの主役は、微生物

麹菌、乳酸菌、酵母。日本酒づくりとは、目に見えない微生物たちが最高の仕事をできるよう、 人が環境を整え続けることに他なりません。倉本酒造の裏山から湧く軟水は発酵を穏やかに進め、 都祁の冷涼な気候は低温長期発酵に理想的。自然栽培の米は、そこに素直で力強い発酵力を持ち込みます。 田んぼの微生物から蔵の微生物へ――自然日本酒は、微生物のリレーで醸されるのです。

奈良のお酒 ― 清酒発祥の地の矜持

Sake of Nara

「日本清酒発祥之地」。奈良・正暦寺の境内には、そう刻まれた石碑が立っています。 日本酒のふるさとで醸すことは、私たちにとって特別な意味を持ちます。

すべては奈良から始まった

室町時代、奈良の寺院で造られた僧坊酒は「南都諸白(なんともろはく)」と呼ばれ、 当時の最高級酒として都で絶大な評価を得ていました。 麹米・掛米の両方に白米を使う「諸白造り」、乳酸発酵で雑菌を抑える「菩提酛」、 腐敗を防ぐ「火入れ」――現代の清酒造りの原型は、このころの奈良で確立されたと言われます。

菩提酛の復活

長く途絶えていた菩提酛は、1990年代後半、正暦寺と奈良県の蔵元・研究機関が手を組んだ 復活プロジェクトによって現代によみがえりました。いまでは毎年一月に正暦寺で酒母の仕込みが行われ、 参加する蔵がそれぞれの菩提酛の酒を醸しています。倉本酒造もこの伝統に深く学び、 乳酸菌の知見を活かした酒づくりを行っています。

大和の風土と酒

奈良盆地を囲む山々、吉野の清流、大和高原の冷涼な気候。奈良には、三輪山を御神体とし 酒の神様として仰がれる大神(おおみわ)神社もあり、土地そのものが酒と深く結びついています。 杉玉(酒林)の発祥も、この大神神社の杉に由来すると伝わります。

いま、奈良の酒がおもしろい

近年の奈良は、伝統の菩提酛に挑む蔵、水端(みずはな)のような古典醸造の再現、 個性豊かな小さな蔵の台頭など、日本酒ファンから熱い視線を集める土地になっています。 その中で私たちは、「清酒発祥の地・奈良」×「自然栽培米」という、 最も古くて最も新しい組み合わせに挑みます。千年前の酒造りが微生物との対話だったように、 私たちの酒も、田んぼと蔵の微生物への信頼から生まれています。

田んぼの物語を、あなたの盃へ。

季節の仕込み情報や限定酒のご案内をお届けします。ご注文・お取り扱いのご相談は、InstagramのDMまたは当店までお気軽にどうぞ。

お酒は20歳になってから。20歳未満の方への酒類の販売は固くお断りしております。飲酒運転は法律で禁止されています。妊娠中・授乳期の飲酒はお控えください。