悠三堂の歴史 2023

FOUNDER'S STORY — 05

30歳、無経験の僕が
自然栽培の農家になれた話

⑤ 世界とつながった年編 2023

株式会社悠三堂 礒崎遼太郎

SUMMARY

2023年のできごと

  • 6月、アメリカ人のジェフがレギュラーのお茶刈りメンバーとして本格的に加わった。作業をしながら英語を学ぶ環境が生まれ、彼自身も自然農法での米作りに関心を示している
  • コロナが明け、台湾・オーストラリア・韓国からの来訪者を受け入れた
  • 1月、自然農法の生産者としては初めての経理勉強会を開催。電動石臼も導入した
  • 4月、田んぼが1.5反増え、放棄地を開墾。福祉事業所では重度の障がいがある人の受け入れが始まった
  • 7月、20代の若者が番茶の収穫に参加。次世代の生産者を育てる種まきになった
  • 10月、うるち米・もち米・酒米の栽培に初挑戦。「自然茶道」の構想が形になりはじめた
  • 自然農法を始めて十年の節目。精神的にはもっとも厳しい一年でもあった

2023年は、都祁の茶畑が
世界とつながりはじめた一年でした。

6月にはアメリカ人のジェフがお茶刈りのレギュラーメンバーに加わり、コロナが明けて台湾、オーストラリア、韓国から人が訪れました。圃場は広がり、農福連携は深まり、そして自然農法を始めて十年の節目を迎えます。月ごとの歩みをたどります。

第一章

経理を、みんなで一から学ぶ

1月は、電動石臼の導入、抹茶問屋への訪問、お茶会、福袋の出荷、かや集め、英語版WEBサイトの作成、経理の勉強会、奈良信用金庫との打ち合わせと、新年から幅広く動いた月です。自然農法の生産者としては初めての経理勉強会を開催しました。就農当初にわからないことだらけで苦労した経験を踏まえて、皆で一から経営を学べる場をつくっています。「アメリカで起業する」「カフェ」という目標を、この頃から明確に語るようになりました。

2月は、YouTube作り、決算の準備、事務作業などに取り組みました。就農して以来、初めてと言っていいほど冬場にしっかり休息を取ることができた月です。来月からの農繁期に向けて、しっかり計画を立てる余裕が生まれました。

第二章

圃場を、広げていく

3月は、三年番茶の収穫、刈りならし作業、確定申告、抹茶製造、J2の受け入れを実施しました。妹が少しずつ仕事に復帰し、発送業務を任せられるようになった月です。久しぶりにJ2の受け入れも許され、13名が作業を手伝いに来てくれ、みんなで自家製の抹茶を楽しむ時間も持てました。一足早く農繁期が始まり、忙しい日々の中でも「今年中に個人の借入の返済」「カフェオープン」「農地取得」「移住」「TOEIC900点」「簿記3級」といった具体的な目標を掲げています。

4月は、刈りならし、春番茶づくり、もみまき、田んぼと畑の耕運、決算事務作業、放棄地の開墾に取り組みました。福祉事業所で新しくダウン症の青年を受け入れ、重度の障がいがある人でも自然農法の作業にどう携われるかという、新しい挑戦が始まっています。新しい田んぼが1.5反増え、放棄地を開墾。これから自然農法の農産物がより求められる時代を見据えて、圃場の拡大を進めていく方針を語りました。

第三章

コロナが明け、世界から人が来た

5月は、お茶刈り、もみまき、決算報告書の提出、記念大祭での販売、来客対応に取り組みました。4月末の遅霜の影響で新茶の収穫量が大きく落ち込みましたが、これまでの経験から対策は整っており、経営的な影響はほとんどありませんでした。コロナが明け、記念大祭前後には海外からの来訪者の受け入れを実施。台湾から来た3名がYouTubeを見て訪ねてくれ、お茶の魅力を体感してもらう機会となりました。

6月は、耕運、代かき、田植え、番茶収穫、紅茶づくり、子供茶会、大豆の播種・補植・草取りと、もっとも忙しい6月を乗り越えました。今月からアメリカ人のジェフがレギュラーのお茶刈りメンバーとして本格的に加わり、作業をしながら英語を学ぶ環境が実現。彼自身も自然農法での米作りに前向きな関心を示しています。6月25日には交野出張所で悠三堂の抹茶を使ったこども茶会を開催し、参加した子供や家族から大好評を得ました。

日本にいながら、世界とつながる。

第四章

次の世代へ、種をまく

7月は、番茶の収穫、お米の草取り、紅茶づくり、海外からのゲストの接待に取り組みました。今年もスムーズにほうじ茶用の番茶の収穫が完了し、20代の若者が収穫に参加してくれたことで、次世代の生産者を育てる種まきができたと実感しています。農福連携が進み、アメリカ人ジェフの加入、海外からの来客の増加もあり、会社として新しい次元に到達しつつある手応えを得ました。オーストラリアと韓国からの来客もあり、日本にいながら世界とつながる自然農法の可能性を感じています。「カフェ(来年)」「アメリカ進出(今年)」「有機JAS加工取得(今秋)」「お茶を楽しむ会(8月)」「体験ツアー(9月)」という具体的なロードマップを描きました。

8月は、水入れ、紅茶づくり、お茶の焙煎、草取り、草刈りを中心に進めました。昨年から大幅に働き方を変えた結果、心穏やかな8月を過ごせるようになり、子供たちとも長い時間を過ごしながら、家事の負担も分担できるようになっています。地域の勉強会の受け入れに向けて倉庫と加工場を整理し、常に美しく保てる環境づくりを意識するようになった月です。「アメリカ法人」「カフェ」「定期的な圃場見学ツアー」「農福連携の全国展開」という将来像を語っています。

第五章

自然農法を始めて、十年

9月は、秋冬野菜の種まき、茶園の草取り、抹茶づくり、番茶の焙煎、田んぼの草刈りに取り組みました。9月8日に家族に大きな出来事があり、葬儀と告別式の前後は畑仕事にほとんど出られませんでしたが、その中でも作業に支障が出ないほど体制が整っていたことに感謝を綴っています。自然農法を始めて10年の節目を迎え、これまで無理してきたこと・我慢してきたことを手放し、ストレスなく穏やかに自然農法を続けていくあり方を模索し始めた月です。

10月は、稲刈り、茶畑の除草作業、古民家の掃除、デザイン制作、新しいWEBサイトの作成を進めました。今年はうるち米・もち米・酒米の栽培に初めて挑戦。アカデミーの茶道教室のお茶会で亭主を務め、稲刈りにちなんだお道具を揃え、碾きたての今年の抹茶を点てる機会にも恵まれました。自然農法と茶道を一体化させる「自然茶道」の構想が、少しずつ形になってきた月です。

最終章

逆境こそが、チャンスだった

11月は、茶園の管理作業、有機JASの書類作成、お茶の焙じ加工、感謝祭お供えの準備、古民家の清掃に取り組みました。年内に予定していたお茶畑の作業がほぼ完了し、他の圃場を手伝う余裕も生まれた月です。農福連携の取り組みの充実、アメリカ人スタッフの雇用による英語力の向上、石臼導入による抹茶の質の改善など、悠三堂が大きく変わりつつある兆しを感じています。

12月は、ガレージ作り、お茶の出荷、田んぼの整備などを進めました。ここ数年、毎年たくさんの試練を経験してきましたが、今年はもっとも精神的に厳しい一年だったと振り返っています。そのしめくくりとして、逆境こそがチャンスなのだと学んだ3年間を糧に、来年へ気持ちを新たにする月となりました。